Swedenスウェーデン
スウェーデンは北欧のスカンジナビア半島にある王国で、何千年もの間、一般家庭で醸造が行われて飲まれるほどにビールが国民的飲み物として親しまれてきました。
ビールの進化や文化に関しては、ヨーロッパの多くの地域と同じような歴史があり、清潔な水が手に入りにくかった17世紀では殺菌された飲み物として僧侶、尼僧、子供たちでさえも飲んでいました。1日に数リットルのビールを成人が飲むことも珍しくなかったそうで、修道女は3リットルから5リットルのビールを受け取る権利もあったそうです。
ホップが持ち込まれるまではベルギーで行われていたように、ハーブなどの植物を調合したグルートを使ってビールに香り付けをしていました。
そして、スウェーデンの伝統的なビールで、現在もつくられているのはスヴァクドリッカとゴットランドドリッカ(ドリッケ)の2種類だけです。
スヴァクドリッカは暗い液色で甘みが強く、アルコール度数が低いことが特徴ですが、若い世代の好みにはマッチしていないようで、このスタイルを醸造しているブルワリーも少なく、存続が危ぶまれています。
ゴットランドドリッカは工業醸造が主流となった現代でも唯一生き延びている伝統的な自家醸造ビールで、今もなお当時とほとんど同じ方法で醸造されています。液色はにごりを伴っており、スモーキー&スパイシーな味わいが特徴です。
20世紀に入り、スウェーデンのブルワリーは9つにまで減少しました。しかし、1990年代になると世界的なクラフトビールブームに影響を受け、マイクロブルワリーが続々と登場し、2015年にはブルワリーの数は約150になり賑わいを見せています。
スウェーデンには独自のビール区分があり、アルコール度数によって3段階に分けられています。度数2.25%以下のビールは酒税の対象外となり、ランチビールとして仕事中に飲まれることもあるそうです。
スーパーやコンビニで販売することができるのは2段回目の3.5%までのため、ハイネケンやカールスバーグなどの輸入銘柄にはスウェーデン向けに低アルコール度数にした商品もあります。
アルコール度数3.5%以上のビールはシステムボラゲットという国営の販売所でのみ購入することができます。